{"meta":{"題":"徒然草 全244段 現代語訳つき正本データ","底本":"烏丸光広本『徒然草』校訂本文（やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0）","ライセンス":"CC BY-SA 4.0（底本に準拠して継承）","総段数":244,"総息数":3448,"生成日":"2026-09-01","備考":"訳はAI生成。スターター10段の一言でいうとは既存訳（translations.json）を流用／2026-10-04 照合: 原文は烏丸本翻刻で裏取りした誤入力を修正・ルビは歴史的仮名遣いに統一・訳は保護期間満了の注釈書と照合して修正（詳細: 校閲/正確性向上_照合計画_20261004.md）","校閲日":"2026-10-04"},"sections":[{"番号":0,"題":"つれづれなるままに日暮らし","一言でいうと":"退屈まぎれに心に浮かぶことを書き散らしていたら、自分でも変な気分になってきた。","字数":66,"息数":4},{"番号":1,"題":"いでやこの世に生まれては願はしかるべきことこそ多かめれ","一言でいうと":"人に望みたいのは、家柄や見栄より、姿と心と教養が調和した品のよさだ。","字数":650,"息数":37},{"番号":2,"題":"いにしへのひじりの御代の政をも忘れ","一言でいうと":"国や民を顧みず、身の回りを豪華に飾って得意になる人は、思慮がない。","字数":195,"息数":11},{"番号":3,"題":"よろづにいみじくとも色好まざらん男はいとさうざうしく","一言でいうと":"恋の情趣を知らない男は物足りないが、溺れずに女から一目置かれるのが理想だ。","字数":175,"息数":8},{"番号":4,"題":"後の世のこと心に忘れず仏の道うとからぬこころにくし","一言でいうと":"死後の世を忘れず、仏の道に親しんでいる人には、奥ゆかしさがある。","字数":29,"息数":2},{"番号":5,"題":"不幸に愁へに沈める人の頭おろしなど","一言でいうと":"悲しみから衝動的に出家するより、ひっそり閉じこもって暮らす姿に心ひかれる。","字数":114,"息数":7},{"番号":6,"題":"わが身のやんごとなからんにもまして数ならざらんにも子といふもの","一言でいうと":"身分の高低にかかわらず、子を持たず、家系を後世に残さない方がよい。","字数":198,"息数":9},{"番号":7,"題":"あだし野の露消ゆる時なく","一言でいうと":"命に限りがあるからこそ、世は美しい。長生きは恥を増やすだけだ。","字数":344,"息数":20},{"番号":8,"題":"世の人の心まどはすこと色欲にはしかず","一言でいうと":"人の心を最も惑わせるのは色欲であり、作りものの香りにさえ心は動く。","字数":167,"息数":9},{"番号":9,"題":"女は髪のめでたからんこそ人の目たつべかめれ","一言でいうと":"誰も逃れにくい男女の愛欲こそ、自分で戒め、恐れ慎むべき最も深い迷いだ。","字数":328,"息数":17},{"番号":10,"題":"家居のつきづきしくあらまほしきこそ","一言でいうと":"住まいには人柄が出る。作り込みすぎず、自然で落ち着いた家こそ奥ゆかしい。","字数":538,"息数":29},{"番号":11,"題":"神無月のころ栗栖野といふ所を過ぎて","一言でいうと":"山奥のわびしい庵に感心していたら、みかんの木が厳重に囲ってあって一気に興ざめした。","字数":226,"息数":13},{"番号":12,"題":"同じ心ならん人としめやかに物語して","一言でいうと":"本音で語れる同じ心の友がほしいが、話を合わせるだけの相手も少し考えの違う相手も心の友にはなれず、わびしい。","字数":269,"息数":15},{"番号":13,"題":"一人灯のもとに文を広げて見ぬ世の人を友とするぞ","一言でいうと":"灯の下で古典を開けば、会ったことのない昔の人を友にできる。","字数":103,"息数":8},{"番号":14,"題":"和歌こそなほをかしきものなれ","一言でいうと":"古い和歌には、言葉の外に情景と余韻が立ち上がる、今の歌にない深さがある。","字数":550,"息数":29},{"番号":15,"題":"いづくにもあれしばし旅立ちたるこそ目覚むる心地すれ","一言でいうと":"しばらく旅に出るだけで、景色も人も持ち物も新鮮に見え、心が目覚める。","字数":200,"息数":11},{"番号":16,"題":"神楽こそなまめかしくおもしろけれ","一言でいうと":"神楽は優雅で面白い。笛と篳篥もよいが、いつも聴きたいのは琵琶と和琴だ。","字数":51,"息数":3},{"番号":17,"題":"山寺にかきこもりて仏に仕うまつるこそ","一言でいうと":"山寺にこもって仏に仕えると、退屈を忘れ、心の濁りまで澄んでいく。","字数":41,"息数":3},{"番号":18,"題":"人はおのれをつづまやかにし奢りを退けて","一言でいうと":"欲を捨て、質素に生きて何も持たない人こそ、心の涼しい賢者である。","字数":305,"息数":19},{"番号":19,"題":"折節の移り変るこそものごとにあはれなれ","一言でいうと":"春夏秋冬、それぞれの移ろいに心が動く。季節は尽きない物語である。","字数":1116,"息数":61},{"番号":20,"題":"なにがしとかやいひし世捨人の","一言でいうと":"世を捨て何の未練もない人でも、移りゆく空の景色だけは名残惜しい。","字数":63,"息数":4},{"番号":21,"題":"よろづのことは月見るにこそ慰むものなれ","一言でいうと":"月も露も風も水も、折にふれれば心を慰める。自然に勝る気晴らしはない。","字数":265,"息数":17},{"番号":22,"題":"何事も古き世のみぞしたはしき","一言でいうと":"器も文章も日常の言葉も、昔のものほど品があり、今風になるほど俗になっていく。","字数":255,"息数":13},{"番号":23,"題":"おとろへたる末の世とはいへど","一言でいうと":"衰えた世でも、宮中の古い建物や作法や言葉には、俗世を離れた尊さが残る。","字数":287,"息数":16},{"番号":24,"題":"斎王の野宮におはしますありさまこそ","一言でいうと":"斎王の野宮や古びた神社には、仏教とは違う清らかで優美な趣がある。","字数":191,"息数":11},{"番号":25,"題":"飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば","一言でいうと":"どれほど栄華を極めた場所も人も移ろい、未来永劫を見越した企てほどはかない。","字数":495,"息数":26},{"番号":26,"題":"風も吹きあへずうつろふ人の心の花に慣れにし年月を思へば","一言でいうと":"心変わりした人と生きながら別れる悲しみは、死別よりも深く胸に残る。","字数":190,"息数":9},{"番号":27,"題":"御国譲りの節会行はれて","一言でいうと":"天皇が退位した時こそ、それまで仕えた人々の本心がはっきり表れる。","字数":151,"息数":7},{"番号":28,"題":"諒闇の年ばかりあはれなることはあらじ","一言でいうと":"天皇が親の喪に服す一年ほど、宮中全体が深い悲しみに包まれる時はない。","字数":95,"息数":4},{"番号":29,"題":"静かに思へばよろづに過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき","一言でいうと":"古い手紙や道具に触れると、過ぎた日々がその時のまま立ち現れて胸を締めつける。","字数":201,"息数":12},{"番号":30,"題":"人の亡きあとばかり悲しきはなし","一言でいうと":"死者の痕跡は人の記憶からも墓の形からも薄れ、最後には跡形さえなくなる。","字数":542,"息数":29},{"番号":31,"題":"雪のおもしろう降りたりし朝人のがり言ふべきことありて","一言でいうと":"用件だけでなく雪の美しさにも触れよとたしなめた人の感性が、忘れがたい。","字数":160,"息数":9},{"番号":32,"題":"九月二十日のころある人に誘はれ奉りて","一言でいうと":"誰も見ていない時にも月を眺める、そのさりげない心づかいに人柄の美しさが表れる。","字数":259,"息数":14},{"番号":33,"題":"今の内裏作り出だされて有職の人々に見せられけるに","一言でいうと":"専門家が見逃した宮殿の誤りを、昔を知る女性の記憶が正した。","字数":138,"息数":7},{"番号":34,"題":"甲香は法螺貝のやうなるが","一言でいうと":"香に使う貝のふたは、武蔵国金沢では「へなたり」と呼ばれていた。","字数":76,"息数":4},{"番号":35,"題":"手のわろき人のはばからず文書き散らすはよし","一言でいうと":"字が下手でも自分で書けばよい。体裁を気にして人に書かせるほうが嫌味だ。","字数":43,"息数":2},{"番号":36,"題":"久しく訪れぬころいかばかり恨むらんと","一言でいうと":"こちらの不義理を責めず、さりげなく頼み事をしてくれる人の心づかいがうれしい。","字数":118,"息数":6},{"番号":37,"題":"朝夕隔てなく慣れたる人の","一言でいうと":"親しい相手への礼儀も、疎い相手への打ち解けた言葉も、人柄のよさを感じさせる。","字数":124,"息数":6},{"番号":38,"題":"名利に使はれてしづかなるいとまなく一生を苦しむるこそ愚かなれ","一言でいうと":"富も地位も名声も知恵さえも追えば迷いになる。真実はその評価の外にある。","字数":758,"息数":44},{"番号":39,"題":"ある人法然上人に","一言でいうと":"できない自分を責め尽くすより、できる時に続け、疑いながらでも一歩を重ねればよい。","字数":173,"息数":11},{"番号":40,"題":"因幡国に何の入道とかやいふ者の娘","一言でいうと":"美人と評判の娘も、栗しか食べない変わった食性のため、父親が結婚を許さなかった。","字数":101,"息数":5},{"番号":41,"題":"五月五日賀茂の競馬を見侍りしに","一言でいうと":"他人の危うさを笑う私たちも、目前の死を忘れて見物に夢中になる同じ愚か者である。","字数":439,"息数":22},{"番号":42,"題":"唐橋中将といふ人の子に行雅僧都とて教相の人の師する僧ありけり","一言でいうと":"高僧の顔が長い病で鬼のように変わり、人目を避けて暮らした末に亡くなった。","字数":246,"息数":12},{"番号":43,"題":"春の暮れつかたのどやかに艶なる空に","一言でいうと":"春の終わり、古びた家で静かに書物を読む美青年を見かけ、その正体を知りたくなった。","字数":195,"息数":11},{"番号":44,"題":"あやしの竹の編戸の内よりいと若き男の","一言でいうと":"月夜に笛の音を追ってたどり着いた山里には、都に劣らぬ優雅な暮らしが息づいていた。","字数":420,"息数":21},{"番号":45,"題":"公世の二位のせうとに良覚僧正と聞こえしは極めて腹あしき人なりけり","一言でいうと":"あだ名の原因を怒って取り除くたび、僧正には新しいあだ名がついた。","字数":179,"息数":10},{"番号":46,"題":"柳原の辺に強盗法印と号する僧ありけり","一言でいうと":"「強盗法印」は強盗をする僧ではなく、何度も強盗に遭った僧のあだ名だった。","字数":48,"息数":3},{"番号":47,"題":"ある人清水へ参りけるに老いたる尼の行きつれたりけるが","一言でいうと":"遠く離れた養い子が今にもくしゃみをしているかもと案じ、まじないを唱え続ける老尼の深い愛情。","字数":210,"息数":12},{"番号":48,"題":"光親卿院の最勝講奉行してさぶらひけるを","一言でいうと":"食べ終えた膳を御簾の中へ戻す古式の作法は、知らない者には無作法に見えた。","字数":150,"息数":8},{"番号":49,"題":"老来たりてはじめて道を行ぜんと待つことなかれ","一言でいうと":"老いてから始めようと思うな。死は若者にも迫るから、なすべきことは今すぐなせ。","字数":401,"息数":22},{"番号":50,"題":"応長のころ伊勢国より女の鬼になりたるを率て上りたるといふことありて","一言でいうと":"誰も見ていない鬼の噂に都中が熱狂し、最後には群衆同士の争いまで起きた。","字数":409,"息数":23},{"番号":51,"題":"亀山殿の御池に大井川の水をまかせられんとて","一言でいうと":"その道を知る職人は、金や試行錯誤では代えられないほど尊い。","字数":209,"息数":10},{"番号":52,"題":"仁和寺にある法師年寄るまで石清水を拝まざりければ","一言でいうと":"念願の石清水参りで、法師は麓だけ拝んで山上の本殿を見ずに帰ってきた。案内役は要る。","字数":227,"息数":12},{"番号":53,"題":"これも仁和寺の法師童の法師にならんとする名残とて","一言でいうと":"酔った勢いで頭にかぶった鼎が抜けなくなり、笑い話が命がけの惨事に変わった。","字数":588,"息数":30},{"番号":54,"題":"御室にいみじき児のありけるをいかで誘ひ出だして遊ばんと","一言でいうと":"面白さを狙いすぎた仕掛けは、たいてい思いもよらない形でしらけて終わる。","字数":439,"息数":25},{"番号":55,"題":"家の作りやうは夏をむねとすべし","一言でいうと":"家は夏の過ごしやすさを第一にし、余白のある造りにするのがよい。","字数":160,"息数":10},{"番号":56,"題":"久しく隔たりて会ひたる人の","一言でいうと":"品のある人は、話す内容よりも、誰にどう話し、どう笑うかでわかる。","字数":333,"息数":18},{"番号":57,"題":"人の語り出でたる歌物語の歌の悪きこそ本意なけれ","一言でいうと":"よく知らない分野を得意げに語ると、聞く側にはその無知まで伝わってしまう。","字数":80,"息数":4},{"番号":58,"題":"道心あらば住む所にしもよらじ","一言でいうと":"本気で仏道を求めるなら、世間の中で済ませず、まず執着から距離を取るべきだ。","字数":515,"息数":29},{"番号":59,"題":"大事を思ひ立たん人は","一言でいうと":"本当に大切なことを始めるなら、片づけてからではなく、未練ごと今すぐ捨てて動く。","字数":380,"息数":20},{"番号":60,"題":"真乗院に盛親僧都とてやんごとなき智者ありけり","一言でいうと":"盛親僧都は、学徳も食欲も自由さも桁外れで、型破りなのに誰からも許された。","字数":763,"息数":41},{"番号":61,"題":"御産の時甑落すことは定まれることにはあらず","一言でいうと":"出産時に甑を落とすのは決まった儀式ではなく、後産（胎盤）が滞った時だけ行う民間由来のまじないだ。","字数":125,"息数":7},{"番号":62,"題":"延政門院いときなくおはしましける時院へ参る人に御ことづてとて","一言でいうと":"幼い延政門院は、文字の形を並べた暗号の歌で「恋しく思っています」と伝えた。","字数":97,"息数":5},{"番号":63,"題":"後七日の阿闍梨武者を集むること","一言でいうと":"年初の祈祷に武士を並べる物々しさは、行事の意味にも一年の兆しにもふさわしくない。","字数":99,"息数":5},{"番号":64,"題":"車の五緒は必ず人によらず","一言でいうと":"五つ緒の牛車は特定の地位の人だけのものではなく、家柄に応じた最高の官位に達すれば乗るものだ。","字数":56,"息数":3},{"番号":65,"題":"このごろの冠は昔よりははるかに高くなりたるなり","一言でいうと":"当時の冠は昔より高くなり、古い冠箱も縁を継ぎ足して使われていた。","字数":52,"息数":3},{"番号":66,"題":"岡本関白殿盛りなる紅梅の枝に鳥一双をそへてこの枝に付けて参らすべきよし","一言でいうと":"鳥を枝に付けて贈る作法は専門家が細部まで定めているが、花の枝を避ける理由には兼好も疑問を残す。","字数":584,"息数":30},{"番号":67,"題":"賀茂の岩本橋本は業平実方なり","一言でいうと":"確かな知識を持つ人ほど、相手を立てながら慎重に答える。","字数":332,"息数":14},{"番号":68,"題":"筑紫になにがしの押領使などいふやうなる者のありけるが","一言でいうと":"長年信じて食べ続けた二本の大根が、いざという時には武士となって恩を返した。","字数":260,"息数":13},{"番号":69,"題":"書写の上人は法華読誦の功積もりて六根浄にかなへる人なりけり","一言でいうと":"悟り澄んだ耳には、煮られる豆と燃やされる豆殻の嘆き合う声まで聞こえた。","字数":201,"息数":10},{"番号":70,"題":"元応の清暑堂の御遊に玄上は失せにしころ菊亭大臣牧馬を弾じ給ひけるに","一言でいうと":"演奏直前に琵琶の柱を外される妨害を受けても、菊亭大臣は懐に用意していた続飯で直し、支障なく弾いた。","字数":165,"息数":7},{"番号":71,"題":"名を聞くよりやがて面影は推し量らるる心地するを","一言でいうと":"名から想像した顔は外れ、昔物語は身近な場所や人に重ね、時にはふと既視感も覚える。そんな心の不思議な働きを書きとめた段。","字数":217,"息数":13},{"番号":72,"題":"賤げなるもの","一言でいうと":"何でも多く並べればよいわけではなく、過剰さは人も物も品を下げる。","字数":103,"息数":9},{"番号":73,"題":"世に語り伝ふることまことはあいなきにや多くはみな虚言なり","一言でいうと":"噂は盛られて事実のように固まるので、珍しい話は普通の事に引き戻して聞き、神仏の話も鵜呑みにせず嘲りもしないのがよい。","字数":644,"息数":37},{"番号":74,"題":"蟻のごとくに集まりて東西に急ぎ南北に走る","一言でいうと":"人は名利を追って休む間もないが、行き着く先は老いと死だけ。それを恐れない者は終わりの近さを見ず、嘆く者は万物が移る道理を知らない。","字数":254,"息数":16},{"番号":75,"題":"つれづれわぶる人はいかなる心ならん","一言でいうと":"孤独を退屈がるより、世間の雑事から離れて静かに心を休めるほうがよい。","字数":298,"息数":15},{"番号":76,"題":"世のおぼえ花やかなるあたりに","一言でいうと":"華やかな人の喜怒哀楽に、世捨て人まで顔を出す必要はない。","字数":95,"息数":4},{"番号":77,"題":"世の中にそのころ人のもてあつかひぐさに言ひあへること","一言でいうと":"自分に関係のない世間話を得意げに語る人は、見苦しい。","字数":140,"息数":9},{"番号":78,"題":"今様のことどもの珍しきを言ひ広めもてなすこそまたうけられね","一言でいうと":"流行を言いふらすのも、仲間内の言葉で新参者を置き去りにするのも品がなく、古びるまで知らない人こそ奥ゆかしい。","字数":156,"息数":8},{"番号":79,"題":"何ごとも入りたたぬさましたるぞよき","一言でいうと":"本当にわかっている人ほど、聞かれないことを知った顔で語らない。","字数":163,"息数":7},{"番号":80,"題":"人ごとにわが身にうときことをのみぞ好める","一言でいうと":"人は本分に縁遠いことを好みがちだが、武勇は死んで初めて名が定まる道で、武家でない者が好んでも益はない。","字数":293,"息数":15},{"番号":81,"題":"屏風・障子などの絵も文字もかたくななる筆やうして書きたるが","一言でいうと":"持ち物は豪華さより、古風で飾らず、安くても質のよいものがよい。","字数":208,"息数":11},{"番号":82,"題":"羅の表紙はとく損ずるがわびしきと人の言ひしに","一言でいうと":"何もかも完璧にそろえるより、傷や欠けや未完成があるほうが味わい深い。","字数":302,"息数":18},{"番号":83,"題":"竹林院入道左大臣殿太政大臣にあがり給はんに","一言でいうと":"頂点まで登りつめず余地を残すことが、破滅を避ける道である。","字数":177,"息数":9},{"番号":84,"題":"法顕三蔵の天竺に渡りて","一言でいうと":"故郷を恋しがる弱さを、人間らしい情けとして受け取れる人は奥ゆかしい。","字数":139,"息数":7},{"番号":85,"題":"人の心素直ならねば偽りなきにしもあらず","一言でいうと":"たとえ真似からでも賢者の行いを実践する人は、すでに賢者の仲間である。","字数":292,"息数":15},{"番号":86,"題":"惟継中納言は風月の才に富める人なり","一言でいうと":"寺を失った寺法師を、ただの法師と呼んだ機転のきいた冗談。","字数":135,"息数":7},{"番号":87,"題":"下部に酒飲ますることは心すべきことなり","一言でいうと":"酒は人を無謀にし、取り返しのつかない惨事を引き起こす。","字数":616,"息数":31},{"番号":88,"題":"ある者小野道風の書ける和漢朗詠集とて持ちたりけるを","一言でいうと":"偽物の疑いを指摘されても、それを希少さの証拠だと思い込む人がいる。","字数":138,"息数":8},{"番号":89,"題":"奥山に猫またといふものありて人を食ふなると人の言ひけるに","一言でいうと":"恐怖にとらわれると、飼い犬まで人食いの化け猫に見えてしまう。","字数":432,"息数":24},{"番号":90,"題":"大納言法印の召し使ひし乙鶴丸やすら殿といふ者を知りて","一言でいうと":"俗人か僧かを問われ「頭は見ていない」と答えた稚児の、語るに落ちた返事を作者がからかう。","字数":166,"息数":9},{"番号":91,"題":"赤舌日といふこと陰陽道には沙汰なきことなり","一言でいうと":"吉凶は日取りで決まるのではなく、その人の行いによって決まる。","字数":306,"息数":17},{"番号":92,"題":"ある人弓射ることを習ふにもろ矢をたばさみて的に向ふ","一言でいうと":"「次がある」と思うと今がおろそかになる。弓に限らず、今この一瞬にすぐ実行せよ。","字数":288,"息数":17},{"番号":93,"題":"牛を売る者あり","一言でいうと":"死が近いことを忘れず、生きている喜びを日々味わうべきだ。","字数":511,"息数":27},{"番号":94,"題":"常磐井相国出仕し給ひけるに勅書を持ちたる北面あひ奉りて","一言でいうと":"天皇の命令を携える者は、自分より高位の人にも礼を譲ってはならない。","字数":149,"息数":8},{"番号":95,"題":"箱のくりかたに緒を付くることいづかたに付け侍るべきぞ","一言でいうと":"箱のひもの付け方には二つの作法があり、どちらでも間違いではない。","字数":113,"息数":5},{"番号":96,"題":"めなもみといふ草あり","一言でいうと":"蛇にかまれた時に使える、めなもみという薬草を覚えておくとよい。","字数":55,"息数":4},{"番号":97,"題":"その物に付きてその物を費し損ふ物数を知らずあり","一言でいうと":"物には、それに取りついて損なうものが数限りなくあり、君子の仁義や僧の仏法のような尊いものさえ、とらわれればその人を損なう。","字数":65,"息数":7},{"番号":98,"題":"尊き聖の言ひ置けることを書き付けて一言芳談とかや名付けたる","一言でいうと":"高僧の法語集から、迷うならしない・物を持たない・へりくだる・俗事を離れるといった、心にかなう教えを書き留めた。","字数":279,"息数":14},{"番号":99,"題":"堀河相国は美男のたのしき人にてそのこととなく過差を好み給ひけり","一言でいうと":"古くから受け継がれた公の品は、傷みさえも由緒として軽々しく改めない。","字数":184,"息数":10},{"番号":100,"題":"久我相国は殿上にて水を召しけるに","一言でいうと":"久我相国は、素焼きの杯ではなく、まがりという器で水を飲んだ。","字数":57,"息数":3},{"番号":101,"題":"ある人任大臣の節会の内弁を勤められけるに","一言でいうと":"取り返しのつかない忘れ物を、機転の利く役人が人知れず救った。","字数":140,"息数":8},{"番号":102,"題":"尹大納言光忠入道追儺の上卿を勤められけるに","一言でいうと":"儀式の実務は、身分の高い人より、現場を知り尽くした者に教わるのがよい。","字数":190,"息数":9},{"番号":103,"題":"大覚寺殿にて近習の人どもなぞなぞを作りて解かれけるところへ","一言でいうと":"人を題にした意地悪ななぞなぞが見事に解かれ、当人だけが腹を立てた。","字数":122,"息数":6},{"番号":104,"題":"荒れたる宿の人目なきに女のはばかることあるころにて","一言でいうと":"人目を忍ぶ一夜の訪れは、慎ましい住まいと卯月の曙まで忘れがたい記憶になった。","字数":603,"息数":31},{"番号":105,"題":"北の屋かげに消え残りたる雪のいたう凍りたるに","一言でいうと":"凍る雪と有明の月の下、人けのない御堂で語り合う男女の姿は、尽きぬ物語を思わせる。","字数":191,"息数":9},{"番号":106,"題":"高野の証空上人京へ上りけるに","一言でいうと":"仏教用語で怒鳴っても通じず、言い過ぎたと気づいて逃げた上人の世間知らずな純真さを、作者は尊いと見ている。","字数":299,"息数":17},{"番号":107,"題":"女のもの言ひかけたる返事とりあへずよきほどにする男はありがたきものぞとて","一言でいうと":"男は女の目を意識して身を整えるが、女の心に迎合することまでよしとしてはならない。","字数":693,"息数":39},{"番号":108,"題":"寸陰惜しむ人なしこれよく知れるか愚かなるか","一言でいうと":"惜しむべきは長い年月ではなく、今この一瞬をむなしく過ごすことである。","字数":504,"息数":27},{"番号":109,"題":"高名の木登りといひし男","一言でいうと":"木登り名人は、危ない高所では黙り、あと少しの低さで初めて「気をつけろ」と言った。","字数":259,"息数":13},{"番号":110,"題":"双六の上手といひし人にその行を問ひ侍りしかば","一言でいうと":"勝とうと急ぐより、負けにつながる手を避け続けるほうが、最後に残る。","字数":134,"息数":8},{"番号":111,"題":"囲碁双六好みて明かし暮らす人は四重五逆にもまされる悪事とぞ思ふ","一言でいうと":"遊びに夢中になって一日を費やすことを、ある僧はこの上ない悪事だと戒めた。","字数":64,"息数":3},{"番号":112,"題":"明日は遠国へ赴くべしと聞かん人に","一言でいうと":"人生の残りが少ないと知ったなら、世間の義理を捨て、なすべきことに心を向けるべきだ。","字数":347,"息数":20},{"番号":113,"題":"四十にも余りぬる人の色めきたる方","一言でいうと":"年齢や身のほどに合わない振る舞いを得意げに見せるのは、見苦しい。","字数":177,"息数":10},{"番号":114,"題":"今出川の大臣殿嵯峨へおはしけるに","一言でいうと":"その道の熟練者を、事情も知らない者が軽々しく責めてはならない。","字数":277,"息数":13},{"番号":115,"題":"宿河原といふ所にてぼろぼろ多く集まりて九品の念仏を申しけるに","一言でいうと":"世を捨てた者同士が執念で刺し違えたが、死を恐れぬ潔さだけは心に残った。","字数":506,"息数":26},{"番号":116,"題":"寺院の号さらぬよろづの物にも名を付くること昔の人は少しも求めず","一言でいうと":"奇抜な名前や珍説で才気を見せたがるのは、かえって浅さを表してしまう。","字数":160,"息数":10},{"番号":117,"題":"友とするに悪き者七つあり","一言でいうと":"友にするなら、身分の高い人・若い人・病気知らずの丈夫な人なども避け、物をくれる人・医師・知恵ある人を選ぶ。","字数":123,"息数":12},{"番号":118,"題":"鯉の羹食ひたる日は鬢そそけずとなん","一言でいうと":"高貴な食材にも、宮中での扱い方には守るべき品位と作法がある。","字数":252,"息数":15},{"番号":119,"題":"鎌倉の海に鰹といふ魚はかの境には双なきものにて","一言でいうと":"昔は身分ある人に出さなかった鰹まで上流でもてはやされるのは、世が末になったしるしだと嘆く。","字数":159,"息数":8},{"番号":120,"題":"唐の物は薬のほかは無くともこと欠くまじ","一言でいうと":"遠い国の珍品をありがたがり、危険を冒して不要な物まで運ぶのは愚かである。","字数":135,"息数":7},{"番号":121,"題":"養ひ飼ふものは馬牛","一言でいうと":"人の目を楽しませるために生き物の自由を奪うのは、残酷な心である。","字数":317,"息数":18},{"番号":122,"題":"人の才能は文あきらかにして聖の教へを知れるを第一とす","一言でいうと":"華やかな芸より、学問・医術・武芸・食・細工のように実際に役立つ力を身につけるべきだ。","字数":362,"息数":22},{"番号":123,"題":"無益のことをなして時を移すを愚かなる人とも僻事する人とも言ふべし","一言でいうと":"食・衣・住・医療が足りれば人は富んでいる。それ以上を求め続けるのはおごりである。","字数":292,"息数":17},{"番号":124,"題":"是法法師は浄土宗に恥ぢずといへども","一言でいうと":"学者ぶらず、ただ念仏を唱えて穏やかに暮らす姿こそ、理想的である。","字数":60,"息数":3},{"番号":125,"題":"人におくれて四十九日の仏事にある聖を請じ侍りしに","一言でいうと":"的外れなほめ方や奇妙なたとえ話を、まじめな顔で語る男のこっけいさを二つの話で笑っている。","字数":313,"息数":18},{"番号":126,"題":"博奕の負け極まりて残りなく打ち入れんとせんにあひては打つべからず","一言でいうと":"負けが極まった相手とは勝負するな。相手が盛り返す時機を見抜くのが勝負上手だ。","字数":86,"息数":5},{"番号":127,"題":"改めて益なきことは改めぬをよしとするなり","一言でいうと":"変えても得にならないことは、変えないほうがよい。","字数":22,"息数":1},{"番号":128,"題":"雅房大納言は才かしこくよき人にて","一言でいうと":"生き物を苦しめて楽しむ者に、慈悲ある人間の心はない。","字数":461,"息数":24},{"番号":129,"題":"顔回は志人に労をほどこさじとなり","一言でいうと":"人の心を傷つけることは、身体を傷つける以上に深刻である。","字数":378,"息数":20},{"番号":130,"題":"物に争はずおのれを枉げて人に従ひわが身を後にして人を先にするにはしかず","一言でいうと":"争わず、自分を抑えて人を先にすることに勝るふるまいはない。","字数":369,"息数":22},{"番号":131,"題":"貧しき者は財をもて礼とし老いたる者は力をもて礼とす","一言でいうと":"自分の限界を知り、及ばないときにすぐやめるのが知恵である。","字数":127,"息数":8},{"番号":132,"題":"鳥羽の作道は鳥羽殿建てられて後の号にはあらず","一言でいうと":"鳥羽の作道という名は、鳥羽殿が建つ前からあった。","字数":90,"息数":5},{"番号":133,"題":"夜の御殿は東御枕なり","一言でいうと":"寝る方角には習わしがあるが、伊勢神宮は真南ではない。","字数":163,"息数":10},{"番号":134,"題":"高倉院の法華堂の三昧僧なにがしの律師とかやいふ者ある時鏡を取りて","一言でいうと":"自分を知り、分に合わない欲を退ける者こそ、本当に物を知る人である。","字数":717,"息数":36},{"番号":135,"題":"資季大納言入道とかや聞えける人具氏宰相中将にあひて","一言でいうと":"何でも答えると豪語した物知りが、意味のない言葉に負けた。","字数":497,"息数":23},{"番号":136,"題":"医師篤成故法皇の御前にさぶらひて","一言でいうと":"博識を誇った医師は、「塩」の字ひとつで無知を見抜かれた。","字数":251,"息数":14},{"番号":137,"題":"花は盛りに月はくまなきをのみ見るものかは","一言でいうと":"物事は盛りよりも始めと終わりにこそ味わいがある。その終わりの最たる死は、誰にも思いがけず迫っている。","字数":1794,"息数":92},{"番号":138,"題":"祭過ぎぬれば後の葵不用なりとて","一言でいうと":"季節が過ぎても、葵や菖蒲の枯れた姿には忘れがたい余韻が残る。","字数":451,"息数":25},{"番号":139,"題":"家にありたき木は松桜","一言でいうと":"庭には見慣れた素朴な草木がよく、珍奇なものをありがたがる必要はない。","字数":562,"息数":36},{"番号":140,"題":"身死して財残ることは智者のせざるところなり","一言でいうと":"死後に財産を残すのは見苦しい。生活に欠かせない物のほかは、何も持たずにいたい。","字数":173,"息数":9},{"番号":141,"題":"悲田院の尭蓮上人は俗姓は三浦の某とかや双なき武者なり","一言でいうと":"都人の曖昧な返事は不実ではなく、情の深さと暮らしの苦しさから生まれる。","字数":448,"息数":24},{"番号":142,"題":"心なしと見ゆる者もよき一言言ふものなり","一言でいうと":"罪人を罰する前に、人が罪へ追い込まれない暮らしを整えるべきだ。","字数":556,"息数":32},{"番号":143,"題":"人の終焉のありさまのいみじかりしことなど人の語るを聞くに","一言でいうと":"立派な最期を飾って語るより、本人の信念と心の静けさを尊ぶべきだ。","字数":184,"息数":9},{"番号":144,"題":"栂尾の上人道を過ぎ給ひけるに","一言でいうと":"馬を追う「あしあし」の声にも、上人は仏の教えを聞いて感涙した。","字数":178,"息数":10},{"番号":145,"題":"御随身秦重躬北面の下野入道信願を","一言でいうと":"落馬の予言は神秘ではなく、乗り手の体つきと馬の好みを見た判断だった。","字数":170,"息数":9},{"番号":146,"題":"明雲座主相者にあひ給ひておのれもし兵仗の難やあると","一言でいうと":"災難を恐れて尋ねる心そのものが、すでに災難の兆しである。","字数":155,"息数":8},{"番号":147,"題":"灸治あまた所になりぬれば神事に穢れありといふこと","一言でいうと":"灸を多く据えると神事の穢れになるという説に、古い根拠はない。","字数":51,"息数":3},{"番号":148,"題":"四十以後の人身に灸を加へて三里を焼かざれば上気の事あり","一言でいうと":"四十歳を過ぎて灸をするなら、足三里にも必ず据えるべきだ。","字数":38,"息数":3},{"番号":149,"題":"鹿茸を鼻に当てて嗅ぐべからず","一言でいうと":"鹿茸は鼻に当てて嗅いではならない。","字数":39,"息数":2},{"番号":150,"題":"能をつかんとする人よくせざらんほどはなまじひに人に知られじ","一言でいうと":"うまくなってから人前に出ようとする人は上達しない。未熟なうちから上手に交じり、道の決まりを守って稽古を続けよ。","字数":307,"息数":16},{"番号":151,"題":"ある人のいはく年五十になるまで上手に至らざらん芸をば捨つべきなり","一言でいうと":"老いてなお欲張って世事や芸に執着せず、ほどを知って静かに手放すのがよい。","字数":210,"息数":11},{"番号":152,"題":"西大寺の静然上人腰かがまり眉白くまことに徳たけたるありさまにて","一言でいうと":"老いた外見をありがたがる人へ、資朝は老犬を連れてきて皮肉を突きつけた。","字数":178,"息数":10},{"番号":153,"題":"為兼大納言入道召し捕られて","一言でいうと":"資朝は、武士に囲まれて連行される為兼の姿さえ、この世に生きた思い出になる晴れ姿としてうらやんだ。","字数":98,"息数":4},{"番号":154,"題":"この人東寺の門に雨宿りせられたりけるに","一言でいうと":"珍しい形への好奇心は長続きせず、結局は素直で自然なものに心が戻る。","字数":263,"息数":13},{"番号":155,"題":"世にしたがはん人はまづ機嫌を知るべし","一言でいうと":"死は四季の移り変わりより速く、順序も待たずに背後から来る。だから成し遂げたいことは時機を待たずにすぐ行え。","字数":516,"息数":30},{"番号":156,"題":"大臣の大饗はさるべき所を申しうけて行ふ常のことなり","一言でいうと":"大臣の大饗には、わざわざ由緒ある場所を借りて催すという古くからの作法がある。","字数":113,"息数":7},{"番号":157,"題":"筆を取ればもの書かれ楽器を取れば音を立てんと思ふ","一言でいうと":"心は触れたものに動かされるから、善い形に身を置けば、内面も自然に整っていく。","字数":308,"息数":18},{"番号":158,"題":"盃の底を捨つることはいかが心得たるとある人の尋ねさせ給ひしに","一言でいうと":"杯の酒を少し残すのは、口をつけた箇所をすすぐための酒席の作法だった。","字数":113,"息数":5},{"番号":159,"題":"みな結びと言ふは糸を結び重ねたるが蜷といふ貝に似たれば言ふ","一言でいうと":"「みな結び」の名は巻貝の蜷に似た形から来ており、「にな結び」は誤りである。","字数":67,"息数":3},{"番号":160,"題":"門に額かくるを打つと言ふは良からぬにや","一言でいうと":"昔から普通に使われる言葉にも、実は誤った言い方が数多く紛れ込んでいる。","字数":186,"息数":10},{"番号":161,"題":"花の盛りは冬至より百五十日とも時正の後七日とも言へど","一言でいうと":"桜の満開は、立春から数えて七十五日目ごろと見れば、だいたい外れない。","字数":47,"息数":2},{"番号":162,"題":"遍照寺の承仕法師池の鳥を日ごろ飼ひつけて","一言でいうと":"餌で鳥をおびき寄せて大量に殺した僧は、村人に捕らえられ、鳥を首に掛けて投獄された。","字数":235,"息数":11},{"番号":163,"題":"太衝の太の字点打つ打たずといふこと陰陽のともがら相論のことありけり","一言でいうと":"「太衝」の「太」に点を打つかという陰陽師の論争に、点を打った古い自筆資料があると盛親入道が述べた。","字数":98,"息数":5},{"番号":164,"題":"世の人あひ会ふ時暫くも黙止することなし","一言でいうと":"人は顔を合わせると黙っていられず、害の多い無駄話を無駄だとも気づかず語り合う。","字数":107,"息数":6},{"番号":165,"題":"吾妻の人の都の人に交はり","一言でいうと":"自分が育った社会を離れ、よその流儀に交じって身を立てようとする姿は見苦しい。","字数":72,"息数":4},{"番号":166,"題":"人間の営みあへるわざを見るに","一言でいうと":"消えかけた命の上で大事業に追われる人間は、雪仏のために豪華な堂を建てるようなものだ。","字数":120,"息数":6},{"番号":167,"題":"一道にたづさはる人あらぬ道の筵にのぞみて","一言でいうと":"自分の優れた点を誇って人と争う慢心こそ、愚かに見え、災いを招く最大の原因である。","字数":387,"息数":20},{"番号":168,"題":"年老いたる人の一事すぐれたる才のありて","一言でいうと":"本当の達人は知っていても控えめに語り、ひけらかさないからこそ、その道の大家と信頼される。","字数":293,"息数":14},{"番号":169,"題":"何事の式といふことは後嵯峨の御代までは言はざりけるを","一言でいうと":"新しい言葉だという説も、古い文章に用例が見つかれば、簡単には信じられない。","字数":118,"息数":6},{"番号":170,"題":"さしたることもなくて人のがり行くはよからぬことなり","一言でいうと":"訪問は用が済んだら早く帰るのが基本だが、心の通う人との何気ない語らいはうれしい。","字数":313,"息数":20},{"番号":171,"題":"貝を覆ふ人の我が前なるをばおきて余所を見渡して","一言でいうと":"遠くを制しようとする前に、まず足元を正せば、その徳は自然と遠くまで届く。","字数":421,"息数":22},{"番号":172,"題":"若き時は血気内に余り心物に動きて情欲多し","一言でいうと":"若さは情熱ゆえに身を誤りやすく、老いは衰えゆえに心が静まり、知恵が深くなる。","字数":335,"息数":17},{"番号":173,"題":"小野小町がこときはめて定かならず","一言でいうと":"小野小町の晩年を語る文には年代の矛盾があり、作者も伝承もはっきりしない。","字数":122,"息数":7},{"番号":174,"題":"小鷹に良き犬大鷹に使ひぬれば小鷹に悪くなると言ふ","一言でいうと":"本当に道を志せば、ほかの営みは自然に捨てられる。人にも賢い犬ほどの一途さはあるはずだ。","字数":148,"息数":9},{"番号":175,"題":"世には心得ぬことの多きなり","一言でいうと":"無理に飲ませる酒は人を壊すが、気心の知れた場でほどよく飲む酒には捨てがたい味がある。","字数":1525,"息数":84},{"番号":176,"題":"黒戸は小松御門位につかせ給ひて昔ただ人におはしましし時","一言でいうと":"黒戸という名は、天皇が皇子時代の習慣を忘れず炊事を続け、薪の煙で部屋がすすけたことに由来する。","字数":84,"息数":5},{"番号":177,"題":"鎌倉中書王にて御鞠ありけるに","一言でいうと":"その場しのぎの妙案より、昔からの正しい作法にかなった備えのほうが優れている。","字数":247,"息数":13},{"番号":178,"題":"ある所の侍ども内侍所の御神楽を見て人に語るとて","一言でいうと":"本当に教養のある人は、知識をひけらかさず、小声の一言で誤りを正す。","字数":120,"息数":6},{"番号":179,"題":"入宋の沙門道眼上人一切経を持来して六波羅のあたり","一言でいうと":"権威ある人の説でも、根拠となる文献がなければ疑って確かめるべきである。","字数":179,"息数":9},{"番号":180,"題":"左義長は正月に打たる毬杖を真言院より神泉苑へ出だして焼き上ぐるなり","一言でいうと":"左義長の囃子に出てくる「法成就の池」は、毬杖を焼く神泉苑を指している。","字数":67,"息数":3},{"番号":181,"題":"ふれふれこゆきたんばのこゆきといふこと","一言でいうと":"昔から歌われた雪の囃子には、言葉の聞き違いから生まれたという説がある。","字数":163,"息数":9},{"番号":182,"題":"四条大納言隆親卿干鮭といふものを供御に参らせられたりけるを","一言でいうと":"慣例だけで食材の格を決めつけず、同じ調理法の例と照らして筋道を立てて考える。","字数":124,"息数":7},{"番号":183,"題":"人突く牛をば角を切り人食ふ馬をば耳を切りてその印とす","一言でいうと":"危険な動物には印をつけて事故を防ぐ責任があり、人を襲う犬は飼ってはならない。","字数":84,"息数":6},{"番号":184,"題":"相模守時頼の母は松下禅尼とぞ申しける","一言でいうと":"世を治める道の基本は倹約であり、松下禅尼は破れた所だけを繕う姿を見せて、若い時頼にそれを教えた。","字数":409,"息数":21},{"番号":185,"題":"城陸奥守泰盛はさうなき馬乗りなりけり","一言でいうと":"達人は、素人なら見過ごす小さな動きから危険な性質を見抜く。","字数":142,"息数":7},{"番号":186,"題":"吉田と申す馬乗りの申し侍りしは","一言でいうと":"技術とは力で押し切ることではなく、相手と道具の危険を見抜き、無理をしない備えである。","字数":150,"息数":8},{"番号":187,"題":"よろづの道の人たとひ不堪なりといへども堪能の非家の人に並ぶ時","一言でいうと":"不器用でも本職として慎重に続ける人は、器用さに任せて勝手に振る舞う素人に勝る。","字数":142,"息数":7},{"番号":188,"題":"ある者子を法師になして","一言でいうと":"人生で大事を成すには、脇道を捨て、今すぐ最優先の一事に取りかからなければならない。","字数":1385,"息数":75},{"番号":189,"題":"今日はそのことをなさんと思へど","一言でいうと":"予定は外れることも当たることもあり、物事は定めがたい。「定まらない」と心得ることだけが確かである。","字数":232,"息数":14},{"番号":190,"題":"妻といふものこそ男の持つまじきものなれ","一言でいうと":"結婚して日常を共にするより、ときどき通う距離を保つほうが、男女の仲は長く新鮮に続く。","字数":386,"息数":20},{"番号":191,"題":"夜に入りて物の栄えなしと言ふ人いと口惜し","一言でいうと":"人も装いも香りも音も、夜の光と暗がりの中でこそ美しさが際立つ。","字数":316,"息数":18},{"番号":192,"題":"神仏にも人の詣でぬ日夜参りたるよし","一言でいうと":"神社や寺には、人の来ない日の夜に参詣するのがよい。","字数":22,"息数":1},{"番号":193,"題":"暗き人の人を量りてその智を知れりと思はんさらに当たるべからず","一言でいうと":"自分の専門だけを物差しに、他人の知性全体を評価してはならない。","字数":222,"息数":12},{"番号":194,"題":"達人の人を見る眼は少しも誤る所あるべからず","一言でいうと":"人の反応は千差万別だが、達人の前では、わかったふりも疑いもすべて見抜かれる。","字数":592,"息数":34},{"番号":195,"題":"ある人久我縄手を通りけるに","一言でいうと":"平静な時には立派な人でも、心を病めば、周囲には理解しがたい行動をすることがある。","字数":157,"息数":9},{"番号":196,"題":"東大寺の神輿東寺の若宮より帰座の時源氏の公卿参られけるに","一言でいうと":"儀礼の正解は表面的な作法だけでなく、その由来と目的まで知ってこそ判断できる。","字数":207,"息数":10},{"番号":197,"題":"諸寺の僧のみにもあらず定額の女嬬といふこと延喜式に見えたり","一言でいうと":"「定額」は寺僧だけの呼称ではなく、定員を定められた公務員全般を指す。","字数":50,"息数":3},{"番号":198,"題":"揚名介に限らず揚名目といふものもあり","一言でいうと":"名目だけの官職には、揚名介だけでなく揚名目というものもあった。","字数":28,"息数":2},{"番号":199,"題":"横川の行宣法印が申し侍りしは唐土は呂の国なり","一言でいうと":"中国と日本では、それぞれ音楽の調子に偏りがあり、備わらない音があるという。","字数":52,"息数":2},{"番号":200,"題":"呉竹は葉細く河竹は葉広し","一言でいうと":"呉竹は葉が細く、河竹は葉が広い。植えられた場所もそれぞれ違う。","字数":44,"息数":3},{"番号":201,"題":"退凡下乗の卒都婆外なるは下乗内なるは退凡なり","一言でいうと":"「下乗」と「退凡」の標柱は、外側が下乗、内側が退凡である。","字数":26,"息数":1},{"番号":202,"題":"十月を神無月と言ひて神事にはばかるべきよしは記したるものなし","一言でいうと":"十月を神無月と呼ぶから神事を避ける、という説には確かな根拠がない。","字数":171,"息数":10},{"番号":203,"題":"勅勘の所に靫かくる作法今は絶えて知れる人なし","一言でいうと":"勅勘を受けた家に靫を掛ける古い作法は廃れ、今では封印に替わった。","字数":149,"息数":9},{"番号":204,"題":"犯人を笞にて打つ時は拷器に寄せて結ひ付くるなり","一言でいうと":"罪人を笞で打つ拷問の道具も作法も、今では知る人がいない。","字数":53,"息数":3},{"番号":205,"題":"比叡山に大師勧請の起請といふことは慈恵僧正書き始め給ひけるなり","一言でいうと":"起請文による裁きは古来の法にはなく、後世に広まった慣行である。","字数":133,"息数":8},{"番号":206,"題":"徳大寺右大臣殿検非違使の別当の時中門使庁の評定行はれけるほどに","一言でいうと":"怪異を騒ぎ立てず常識で片づければ、災いは起こらない。","字数":263,"息数":13},{"番号":207,"題":"亀山殿建てられんとて地を引かれけるに","一言でいうと":"根拠のない祟りを恐れず蛇の塚を崩したが、何の災いも起きなかった。","字数":242,"息数":12},{"番号":208,"題":"経文などの紐を結ふに","一言でいうと":"経巻の紐にも古来の正しい結び方があり、当世風は見苦しい。","字数":179,"息数":9},{"番号":209,"題":"人の田を論ずるもの訴へに負けてねたさにその田を刈りて取れとて","一言でいうと":"道理を捨てて悪事をすると決めた者には、悪事の範囲を守る理由さえない。","字数":165,"息数":9},{"番号":210,"題":"喚子鳥は春のものなりとばかり言ひて","一言でいうと":"春の鳥とされる喚子鳥は、古い記述をたどると鵺らしい。","字数":120,"息数":7},{"番号":211,"題":"よろづのことは頼むべからず","一言でいうと":"何ものにも頼り切らず、広く柔らかな心でいれば、喜怒に振り回されない。","字数":402,"息数":32},{"番号":212,"題":"秋の月はかぎりなくめでたきものなり","一言でいうと":"秋の月の格別な美しさがわからない人は、まったく情けない。","字数":61,"息数":3},{"番号":213,"題":"御前の火炉に火を置く時は火箸して挟むことなし","一言でいうと":"御前の火鉢へ炭を移す作法は、服装によって火箸を使う例外もある。","字数":132,"息数":6},{"番号":214,"題":"想夫恋といふ楽は女男を恋ふるゆゑの名にはあらず","一言でいうと":"雅楽の曲名は恋物語ではなく、異なる由来の語が同じ音に転じたものだ。","字数":140,"息数":9},{"番号":215,"題":"平宣時朝臣老いの後昔語りに","一言でいうと":"権力者と家臣が、味噌だけを肴に気取らず酒を楽しんだ時代があった。","字数":337,"息数":14},{"番号":216,"題":"最明寺入道鶴岡の社参のついでに","一言でいうと":"昔の上に立つ人々は、もてなしは質素でも、贈り物をねだる側も応じる側も飾らず気さくだった。","字数":232,"息数":11},{"番号":217,"題":"ある大福長者のいはく","一言でいうと":"金を使わず守り抜く蓄財術は、突き詰めれば欲を捨てる無欲と同じになる。","字数":761,"息数":42},{"番号":218,"題":"狐は人に食ひつくものなり","一言でいうと":"狐は本当に人へ襲いかかり、噛みつくことがある。","字数":133,"息数":8},{"番号":219,"題":"四条黄門命ぜられていはく龍秋は道にとりてはやんごとなき者なり","一言でいうと":"笛の音の良し悪しは穴の構造だけでなく、吹き手が息で整える技量による。","字数":540,"息数":16},{"番号":220,"題":"何事も辺土は賤しくかたくななれども天王寺の舞楽のみ都に恥ぢずと言へば","一言でいうと":"天王寺の舞楽は鐘を基準に音律を整えるので都に劣らず、そもそも鐘の音は無常を表す黄鐘調であるべきだ。","字数":344,"息数":18},{"番号":221,"題":"建治弘安のころは祭の日の放免の付け物に","一言でいうと":"祭りの飾りは派手さを競いすぎ、担ぐ本人が苦しむ見苦しいものになった。","字数":220,"息数":11},{"番号":222,"題":"竹谷乗願房東二条院へ参られたりけるに","一言でいうと":"宗派の都合より、経典に根拠がある教えを答えるのが誠実である。","字数":256,"息数":13},{"番号":223,"題":"鶴の大臣殿は童名たづ君なり","一言でいうと":"鶴大臣の呼び名は幼名の鶴君に由来し、鶴を飼ったからではない。","字数":36,"息数":2},{"番号":224,"題":"陰陽師有宗入道鎌倉より上りて尋ね詣で来たりしが、","一言でいうと":"土地を遊ばせず、食べ物や薬になる植物を植えるのがよい。","字数":158,"息数":10},{"番号":225,"題":"多久資が申しけるは","一言でいうと":"白拍子は、通憲入道が磯の禅師に教えた男装の舞に始まり、娘の静が受け継いだ。","字数":179,"息数":10},{"番号":226,"題":"後鳥羽院の御時信濃前司行長稽古の誉ありけるが","一言でいうと":"『平家物語』は、行長が作り、盲僧の生仏に教えて語らせたという。","字数":334,"息数":18},{"番号":227,"題":"六時礼讃は法然上人の弟子安楽といひける僧経文を集めて作りて","一言でいうと":"六時礼讃と法事讃は、僧たちの工夫によって今の声明になった。","字数":115,"息数":7},{"番号":228,"題":"千本の釈迦念仏は文永のころ如輪上人これを始められけり","一言でいうと":"千本の釈迦念仏は、文永年間に如輪上人が始めた。","字数":34,"息数":2},{"番号":229,"題":"よき細工は少し鈍き刀を使ふと言ふ","一言でいうと":"名人は、切れすぎない道具を使う。","字数":31,"息数":2},{"番号":230,"題":"五条内裏には妖物ありけり","一言でいうと":"五条内裏の狐は、人に化けきれないまま見つかって逃げた。","字数":133,"息数":7},{"番号":231,"題":"園の別当入道はさうなき庖丁者なり","一言でいうと":"気の利いた演出より、何気なく率直にふるまうほうが上品である。","字数":485,"息数":23},{"番号":232,"題":"すべて人は無智無能なるべきものなり","一言でいうと":"知識や腕前はひけらかさず、何も知らない顔でいるのがよい。","字数":326,"息数":16},{"番号":233,"題":"よろづの咎あらじと思はば","一言でいうと":"誠実で礼儀正しく、言葉少なにしていれば、人の過ちは少なくなる。","字数":150,"息数":7},{"番号":234,"題":"人の物を問ひたるに","一言でいうと":"知っていることを、相手に聞き返させるような言い方で出し惜しみしてはいけない。","字数":311,"息数":16},{"番号":235,"題":"主ある家にはすずろなる人心のままに入り来ることなし","一言でいうと":"心に主人がいないから、思いは次々と勝手に入り込んでくる。","字数":232,"息数":14},{"番号":236,"題":"丹波に出雲といふ所あり","一言でいうと":"深い由緒に見えた狛犬の向きは、子どものいたずらだった。","字数":419,"息数":22},{"番号":237,"題":"柳筥に据ゆる物は縦さま横さま物によるべきにや","一言でいうと":"物を縦に置くか横に置くかは、名家の作法でも意見が分かれる。","字数":144,"息数":8},{"番号":238,"題":"御随身近友が自讃とて、七箇条書き留めたることあり","一言でいうと":"近友にならい、兼好が自分のささやかな自慢話を七つ書き並べた。","字数":1680,"息数":84},{"番号":239,"題":"八月十五日九月十三日は婁宿なり","一言でいうと":"旧暦八月十五日と九月十三日は、星回りも月見にふさわしい夜である。","字数":42,"息数":2},{"番号":240,"題":"しのぶの浦の蜑の見るめも所せくくらぶの山も守る人しげからんに","一言でいうと":"恋は、障害を越えて自ら通うからこそ深く、似合わないならしないほうがよい。","字数":482,"息数":26},{"番号":241,"題":"望月の円かなることはしばらくも住せずやがて欠けぬ","一言でいうと":"やるべきことを終えてから修行しようとしても、その日は永遠に来ない。","字数":439,"息数":24},{"番号":242,"題":"とこしなへに違順に使はるることはひとへに苦楽のためなり","一言でいうと":"人を振り回す名誉・色欲・味覚の三欲は迷いから生じるので、求めないのがよい。","字数":164,"息数":11},{"番号":243,"題":"八つになりし年父に問ひていはく","一言でいうと":"八歳の兼好が「最初の仏は誰が教えたの」と父を問い詰め、父は笑って降参した。","字数":264,"息数":15}]}
