そらんじ徒然草

西大寺の静然上人腰かがまり眉白くまことに徳たけたるありさまにて

一言でいうと
老いた外見をありがたがる人へ、資朝は老犬を連れてきて皮肉を突きつけた。
原文
西大寺の静然上人じやうねんしやうにん、腰かがまり、眉白く、
まことに徳たけたるありさまにて、
内裏だいりへ参られたりけるを、西園寺内大臣殿さいをんじないだいじんどの
「あなたうとのけしきや」とて、信仰の気色きそくありければ、
資朝卿すけともきやう、これを見て、
「年の寄りらるに候ふ」と申されけり。
後日に、むく犬のあさましく老いさらぼひて、
毛はげたるを引かせて、
「この気色、尊く見えて候ふ」とて、
内府ないふへ参らせられたりけるとぞ。
現代語訳
西大寺の静然上人は、腰が曲がり、眉も白く、実に徳の高そうな姿で御所へ参上した。西園寺内大臣殿が「ああ、なんと尊そうなお姿だ」と信仰心を起こした様子を見せると、資朝卿は「ただお年を召しておられるのです」と申し上げた。後日、むく犬がひどく老いぼれ、毛も抜け落ちているのを引かせて、「この姿は尊く見えます」と言い、内大臣のもとへ差し上げなさったという。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)