四十にも余りぬる人の色めきたる方
一言でいうと
年齢や身のほどに合わない振る舞いを得意げに見せるのは、見苦しい。
原文
四十にも余りぬる人の、色めきたる方、
おのづから忍びてあらんはいかがはせん、
言にうち出でて、男女のこと、
人の上をも言ひたはぶるこそ、にげなく、見苦しけれ。
おほかた、聞きにくく見苦しきこと、
老人の若き人に交はりて、興あらんともの言ひゐたる。
数ならぬ身にて、世のおぼえある人を、
隔てなきさまに言ひたる。
貧しき所に酒宴好み、「客人に饗応せん」と、
きらめきたる。
現代語訳
四十歳を過ぎた人が色恋に心を動かすのは、自然に起こることとして人知れずしているなら仕方がない。だが、口に出して男女のことや他人の恋愛を面白おかしく話すのは、年齢に似つかわしくなく、見苦しい。ほかにも、たいてい聞き苦しく見苦しいのは、老人が若者に交じり、面白い人だと思われようとしてしゃべり続けること、取るに足りない身分なのに、世間で評判の高い人を親しい間柄であるかのように語ること、貧しい家なのに宴会を好み、「客をもてなそう」と華やかに振る舞うことである。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)