そらんじ徒然草

唐の物は薬のほかは無くともこと欠くまじ

一言でいうと
遠い国の珍品をありがたがり、危険を冒して不要な物まで運ぶのは愚かである。
原文
からの物は、薬のほかは無くともこと欠くまじ。
ふみどもは、この国に多く広まりぬれば、書きも写してん。
もろこし舟の、たやすからぬ道に、
無用の物どものみ取り積みて、所狭く渡し持て来る、
いと愚かなり。
「遠き物を宝とせず」とも、
また「得がたきたからを貴まず」ともと、文にもはべるとかや。
現代語訳
中国から来る品物は、薬以外なら、なくても困らないだろう。書物はすでにこの国に多く広まっているので、必要なら書き写せばよい。中国へ渡る船が、たやすくはない航路を通り、役に立たない品ばかりを積み込んで、場所もないほど持ち帰ってくるのは、実に愚かである。「遠方の物を宝としてはいけない」とも、「手に入りにくい財宝を尊んではいけない」とも、書物にあるという。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)