貧しき者は財をもて礼とし老いたる者は力をもて礼とす
一言でいうと
自分の限界を知り、及ばないときにすぐやめるのが知恵である。
原文
貧しき者は財をもて礼とし、
老いたる者は力をもて礼とす。
おのが分を知りて、及ばざる時は、
すみやかに止むを智といふべし。
許さざらんは、人の誤りなり。
分を知らずして、しひて励むは、おのれが誤なり。
貧しくて分を知らざれば盗み、
力衰へて分を知らざれば病を受く。
現代語訳
貧しい者は財物を贈ることで礼を尽くそうとし、老いた者は体力を使うことで礼を尽くそうとする。自分の分限を知り、力が及ばない時にはすぐやめるのを知恵というべきだ。それを許さないのは相手の過ちであり、自分の限界を知らず無理に励むのは自分の過ちである。貧しいのに分限を知らなければ盗みをし、力が衰えたのに限界を知らなければ病気になる。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)