そらんじ徒然草

何事の式といふことは後嵯峨の御代までは言はざりけるを

一言でいうと
新しい言葉だという説も、古い文章に用例が見つかれば、簡単には信じられない。
原文
「何事の式といふことは、
後嵯峨ごさがの御代までは言はざりけるを、
近きほどより言ふ言葉なり」と人の申しはべりしに、
建礼門院けんれいもんゐん右京大夫うきやうのだいぶ後鳥羽院御位ごとばのゐんみくらゐののち、
また内裏住うちずみしたることを言ふに、
「世のしきも変りたることはなきにも」と書きたり。
現代語訳
ある人が、「何々の『式』という言い方は、後嵯峨天皇の御代までは使わなかったが、近頃になって使われ始めた言葉です」と申した。だが、建礼門院右京大夫は、後鳥羽院が御即位になった後、自分が再び御所に住んだことを述べた箇所で、「世のしきも変わったことはないのに」と書いている。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)