そらんじ徒然草

小鷹に良き犬大鷹に使ひぬれば小鷹に悪くなると言ふ

一言でいうと
本当に道を志せば、ほかの営みは自然に捨てられる。人にも賢い犬ほどの一途さはあるはずだ。
原文
小鷹こたかに良き犬、大鷹おほたかに使ひぬれば、
小鷹にわろくなると言ふ。
大に付き小を捨つることわり、まことにしかなり。
人事にんじ多かる中に、道を楽しぶより気味深きはなし。
これ、まことの大事なり。
一度ひとたび、道を聞きて、これに志さん人、
いづれのわざかすたれざらん。
何ごとをか営まん。
愚かなる人といふとも、賢き犬の心に劣らんや。
現代語訳
小鷹狩りに適した犬を大鷹狩りに使うと、小鷹狩りには役立たなくなるという。大きなものにつき、より小さなものを捨てるという道理は、まことにそのとおりである。人の営みが数多くある中で、道を楽しむことより味わい深いものはない。これこそ本当の大事である。一度でも道を聞き、それを志した人なら、捨てられない仕事があるだろうか。ほかに何を営むというのか。愚かな人であっても、賢い犬の心に劣ることがあるだろうか。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)