そらんじ徒然草

ふれふれこゆきたんばのこゆきといふこと

一言でいうと
昔から歌われた雪の囃子には、言葉の聞き違いから生まれたという説がある。
原文
「ふれふれこゆき。たんばのこゆき」といふこと、
よねつき、ふるひたるに似たれば、『粉雪こゆき』と言ふ。
『たまれ粉雪こゆき』と言ふべきを、
誤りて『丹波たんばの』とは言ふなり。
かきや木のまたに」と歌ふべし」と、ある物知り申しき。
昔より言ひけることにや。
鳥羽院とばのゐん、幼くおはしまして、雪の降るに、
かく仰せられけるよし、
讃岐典侍さぬきのすけ日記につきに書きたり。
現代語訳
「降れ降れ粉雪、丹波の粉雪」という歌について、ある物知りがこう言った。米をついてふるう様子に似ているので「粉雪」という。「積もれ粉雪」と言うべきところを誤って「丹波の」と言うようになったのであり、「垣や木の股に」と続けて歌うのが正しい、と。これは昔から言われていたことなのだろうか。鳥羽院が幼少のころ、雪が降った時にこのようにおっしゃったことが、讃岐典侍の日記に書かれている。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)