四条大納言隆親卿干鮭といふものを供御に参らせられたりけるを
一言でいうと
慣例だけで食材の格を決めつけず、同じ調理法の例と照らして筋道を立てて考える。
原文
四条大納言隆親卿、
干鮭といふものを供御に参らせられたりけるを、
「かくあやしき物、参るやうあらじ」と、
人の申しけるを聞きて、大納言、
「鮭といふ魚、参らぬことにてあらんにこそあれ、
鮭の白干し、なでふ事かあらん。
鮎の白干しは参らぬかは」と申されけり。
現代語訳
四条大納言隆親卿が、干鮭というものを天皇のお食事に差し上げた。それを「このような粗末な物を御膳に出すことはないでしょう」と人が言ったのを聞き、大納言は、「鮭という魚そのものをお出ししないというならともかく、鮭を白干しにしたからといって何の問題があるのか。鮎の白干しはお出しするではないか」と言われた。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)