そらんじ徒然草

よろづの道の人たとひ不堪なりといへども堪能の非家の人に並ぶ時

一言でいうと
不器用でも本職として慎重に続ける人は、器用さに任せて勝手に振る舞う素人に勝る。
原文
よろづの道の人、たとひ不堪ふかんなりといへども、
堪能かんのうの非家の人に並ぶ時、必ずまさることは、
たゆみなくつつしみて軽々かるがるしくせぬと、
ひとへに自由なるとの等しからぬなり。
芸能・所作しよさのみにあらず、おほかたの振舞ふるまひ・心づかひも、
おろかにして慎しめるは徳のもとなり。
たくみにしてほしきままなるは、失のもとなり。
現代語訳
どの道でも、その家の専門家は、たとえ腕が未熟でも、上手な素人と並べば必ず勝るところがある。いつも油断せず、慎重で軽々しく行わない専門家と、ただ自由気ままにする素人との違いである。芸や作法だけの話ではない。ふだんの振る舞いや心づかいでも、愚かであっても慎み深いことは徳のもととなり、巧みであっても思うままに振る舞うことは失敗のもととなる。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)