そらんじ徒然草

喚子鳥は春のものなりとばかり言ひて

一言でいうと
春の鳥とされる喚子鳥は、古い記述をたどると鵺らしい。
原文
喚子鳥よぶこどりは春のものなり」とばかり言ひて、
いかなる鳥とも、定かに記せるものなし。
ある真言書しんごんしよの中に、喚子鳥鳴よぶこどりなく時、
招魂せうこんの法をば行ふ次第あり。
これはぬえなり。
万葉集まんえふしふ長歌ちやうかに、「霞立かすみたつ長き春日の」など続けたり。
鵺鳥ぬえどりも喚子鳥のことざまに通ひて聞こゆ。
現代語訳
「喚子鳥は春の鳥である」とだけいわれ、どんな鳥なのかをはっきり記したものはない。ある真言宗の書物には、喚子鳥が鳴く時に招魂の法を行う手順が書かれている。この鳥は鵺である。『万葉集』の長歌でも、「霞の立つ長い春の日の」といった言葉に続けて詠まれている。鵺鳥も、喚子鳥の性質と似たものとして聞こえる。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)