そらんじ徒然草

よろづの咎あらじと思はば

一言でいうと
誠実で礼儀正しく、言葉少なにしていれば、人の過ちは少なくなる。
原文
「よろづのとがあらじ」と思はば、何事にもまことありて、
人を分かず、うやうやしく、言葉少なからんにはしかじ。
男女・老少らうせう、みなさる人こそよけれども、
ことに若く形よき人の、ことうるはしきは、忘れがたく、
思ひつかるるものなり。
よろづの咎は、馴れたるさまに上手めき、
所得ところえたる気色として、人をないがしろにするにあり。
現代語訳
「どんな過ちも犯したくない」と思うなら、何事にも誠実で、人によって態度を変えず、礼儀正しく、言葉を少なくするのがいちばんである。男でも女でも、老人でも若者でも、皆そのような人がよい。なかでも若く容姿のよい人が、言葉遣いまで端正だと、忘れがたく、心を引かれるものだ。あらゆる過ちは、物慣れた様子で上手ぶり、自分はその場を心得ているという顔をして、人を軽く扱うところから生まれる。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)