因幡国に何の入道とかやいふ者の娘
一言でいうと
美人と評判の娘も、栗しか食べない変わった食性のため、父親が結婚を許さなかった。
原文
因幡国に、何の入道とかやいふ者の娘、形良しと聞きて、
人あまた言ひわたりけれども、この娘、
ただ栗をのみ食ひて、さらに米の類を食はざりければ、
「かかる異様の者、人に見ゆべきにあらず」とて、親、
許さざりけり。
現代語訳
因幡国に、何とかいう入道の娘がいた。美しいという評判を聞き、多くの男が結婚を申し込んだが、この娘は栗ばかり食べ、米の類をまったく食べなかった。そのため父親は、「このように変わった者を人の妻にするわけにはいかない」と言って、結婚を許さなかった。
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底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)