そらんじ徒然草

不幸に愁へに沈める人の頭おろしなど

一言でいうと
悲しみから衝動的に出家するより、ひっそり閉じこもって暮らす姿に心ひかれる。
原文
不幸にうれへに沈める人の、かしらおろしなど、
ふつつかに思ひ取りたるにはあらで、
あるかなきかに門さしこめて、
待つこともなく明かし暮らしたる、
さるかたにあらまほし。
顕基中納言あきもとのちゅうなごんの言ひけん、
配所はいしょの月罪なくて見んこと、さも思えぬべし。
現代語訳
不幸にあって悲しみに沈んだ人が、衝動的に思い立って髪を下ろし出家するのではなく、いるかいないかわからないほどひっそりと門を閉ざし、何かを待つこともなく日々を明かし暮らしている。そういうあり方こそ望ましい。顕基中納言が言ったという、「罪を犯さずに流刑の地の月を眺めたい」という言葉も、まったくそのように思われる。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)