賤げなるもの
一言でいうと
何でも多く並べればよいわけではなく、過剰さは人も物も品を下げる。
原文
賤げなるもの。
居たるあたりに調度の多き。
硯に筆の多き。
持仏堂に仏の多き。
前栽に石・草木の多き。
家の内に子孫の多き。
人にあひて詞の多き。
願文に作善多く書き載せたる。
多くて見苦しからぬは、文車の文、塵塚の塵。
現代語訳
品がなく見えるもの。座っている辺りに道具が多いこと。硯に筆が多いこと。仏間に仏像が多いこと。庭に石や草木が多いこと。家の中に子や孫が多いこと。人に会って言葉数が多いこと。願文に、自分が行った善行をたくさん書き並べてあること。多くても見苦しくないのは、書物を運ぶ車に積んだ書物と、ごみ捨て場のごみである。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)