そらんじ徒然草

屏風・障子などの絵も文字もかたくななる筆やうして書きたるが

一言でいうと
持ち物は豪華さより、古風で飾らず、安くても質のよいものがよい。
原文
屏風びやうぶ障子しやうじなどの絵も文字も、
かたくななる筆やうして書きたるが、見にくきよりも、
宿のあるじのつたなく思ゆるなり。
おほかた、持てる調度てうどにても、
心劣りせらるることはありぬべし。
さのみ良き物を持つべしとにもあらず。
「損ぜざらんため」とて、しななく見にくきさまにしなし、
「珍しからん」とて、用なきことどもし添へ、
わづらはしく好みなせるを言ふなり。
古めかしきやうにて、いたくことことしからず、
費えもなくて、物がらの良きがよきなり。
現代語訳
屏風や障子などの絵や文字が、稚拙な筆づかいで書かれていると、そのものが見苦しい以上に、家の主人まで教養がないように思われる。おおむね、持っている道具によって、その人にがっかりさせられることはあるものだ。だからといって、ひたすら上等な物を持つべきだというのではない。「傷まないように」と品なく見苦しい作りにしたり、「珍しいものにしよう」と不要な仕掛けを加えたりして、わずらわしいほど凝った物にすることをいうのである。古風な様子で、ひどく仰々しくなく、費用もかからず、それでいて材質のよい物がよい。
全244段の目次
底本: 烏丸光広本『徒然草』校訂本文(やたがらすナビ・CC BY-SA 4.0)